びばい人物語 #002 倉知忠良さん

本物だから自信を持てるし、持ってほしい。美唄だからこそ生まれる価値

美唄市の中心をとおる日本一の直線道路国道12号線から少し脇道に入ると、たくさんのメガネやサングラスなどがアンティークな家具と雑貨に囲まれて並んでいるレンガ調のお店が見えてきます。
外からガラス越しに見える店内は、間接照明に囲まれた国内外のブランドメガネがずらりと並び少し戸惑ってしまいそうですが、お店に入ると笑顔で“いらっしゃいませ”と迎えられ、どこかホッとしリラックスした雰囲気に包まれます。
「メガネって触ってみて愛情が沸くし、曲線とかエッジとかって見ただけじゃわからないんです。」と話すのは、眼鏡ソムリエの資格も持つ“メガネの三愛”代表の倉知さん。
カリスマ店長だった叔父が経営していたお店を買い取り独立。創業30年・独立15年が経過した今、ここまでどんな経験や苦労そして出逢いがあったのか、そして、これからの“メガネの三愛”と倉知さんのお話を伺ってみました。

叔父の土台は大きかった。そして、悔しさがあったからこそ頑張れた

昭和の時代、“メガネの愛眼 美唄店”を倉知さんの叔父“沢田”さんが店長を約20年努めていました。そんな時に美唄店を閉店して統合するという話が持ち上がり、美唄店を閉めるのはもったいないから買い取らせてほしいと平成元年10月に独立。目の“eye”、人との出会いの“逢い”、そして仕事に対する愛情の“愛”を総称して、“メガネの三愛”が誕生します。
それから倉知さんがお店を引き継ぎ、現在に至っていますが、それまでに感じた悔しさや自分の信じる方向への舵切りなどを話してくれました。

独立当初、当時28歳だった倉知さんの前にある“壁”が立ちはだかります。当時カリスマ店長だった叔父がお店を離れることをきっかけに、「叔父がいないのであれば他へ行く」とかなりのお客さんが三愛から離れてしまいました。
「あの若造に何ができるみたいなことはあったと」と当初を振り返る倉知さんは、その悔しさがあったからこそ「接客もそうだし、技術や雰囲気など絶対に取り戻してみせるって頑張れた」と、話してくれました。
そんな倉知さんのお店は何もないところから始まったわけではなく、それまで来てくれていたお客さんと叔父が作り上げた信用や繋がりの土台は本当に大きかったといいます。
そんな土台にうまく乗ること、そして、自分たちの色にアレンジを重ねて、そこにお客さんが付いてきてくれた。「叔父にもお客さんにも本当に感謝しかないです。」

価格競争が進む平成12年頃、メガネ業界も低価格路線に参入していきます。商品を安く提供し、技術やアフターサービスは省きつつ・・・そんな時にメガネの三愛では、決して安売りはせず“本物”の商品を、培った経験と愛情でお客様に届けたいと、真逆へ舵を切っていきます。
本物でなければいけないのは、商品だけでなく自分たちもそうでなければいけないと、見やすいメガネは当たり前。「メガネ屋としてやるべきことはきっちりやる。上辺だけじゃなくて。」と視力検査やフィッティング、技術的にも他店には負けない、お仕事や急用で来店できないお客さんに呼ばれれば自宅まで伺うこともあるそうです。
「メガネやブランドがわからない人でも、これは本物だって思えるもの。そして、どこかに出かけたとき、メガネに詳しい人と出会っても“おっ”っと驚いてもらえるもの。お買い物に行ったら“素敵なメガネですね”ってお客さんが言われてほしい。」まさに、三つの愛の三愛だからできるこだわり、倉知さんの人柄も伺えます。
メガネにまつわる様々な出来事を、お客さんはまた来店されて報告してくれるそうで、「三愛に任せておけば安心だって思ってもらいたいな」と笑顔で話してくれました。

美唄で商売していることが強みだと思う

「よく言われるのが、もっと美唄らしくしたらいいんじゃないの?お店の前とか」
美唄らしいって何ですかと聞いてみると、あまりオシャレにしないで分かりやすくセットの値段とか外に貼ったらどうかと言われることがあったそうです。
店舗の見た目もそうですが、人それぞれ個性があるし、都会にいなくたってオシャレはしたいはず。
「理想は、美唄の街で歩いている人を見ると、みんなオシャレなメガネしてるねって言われたい」

都会じゃないからこそ、道内でも美唄だからこそ話題になるし、美唄で本物を扱っていることがモチベーションになるそうで、「このブランドが美唄にあるんだ」というギャップをうまく利用できるといいます。
そして、遠方から来てくれたお客様には、美唄の名所やグルメを紹介しているそうで、アルテピアッツァに行って、30分後に焼き鳥のお持ち帰りを予約してあげることもあるそうです。

そんな倉知さんは“まちづくり”の観点でも活躍しており、美唄商工会議所青年部(YEG)にも所属しています。まずは今いる人たちでやれることをやる、そのなかで新しいことにも挑戦していけば誰かの耳に入って“美唄で面白いことしてる”ってなってくれるはず、美唄で商売を始めてみたい人や休日に美唄へ足を運んでくれるきっかけになるのではと話す倉知さん「そういうことって人が人を呼ぶから、きっと来てくれるんじゃないかな」と話してくれました。
まだ企画段階ですが、職人さんを呼んでメガネ造りの体験ができるワークショップや地域おこし協力隊の方と協力して、台湾茶をお客様に提供してみたいそうで、美唄のメガネ屋さんが今後この小さな街にどんな出逢いをもたらしてくれるのか、とても楽しみになりました。
是非、気軽に“メガネの三愛”さんへ足を運んでみてください、きっと新たな出逢いが広がっていくと思います。

≪ Profile ≫
倉知忠良(45歳)
メガネの三愛 代表
SS級認定眼鏡士 眼鏡ソムリエ
メガネの三愛 公式HP

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  1. びばい人物語 #001 渡辺修さん